自分は何者なのか ── 鎧が溶け出すとき

「自分は何者なのか」
この問いを、いつのまにか背負わされている人は多い。
何ができる人なのか。
どこに属しているのか。
何を名乗れば説明がつくのか。
そうした問いは、一見すると前向きで、まっとうなものに見える。
けれど、まじめに考え続けるほど、息苦しさだけが残ることもある。
この本は、何者かになりたい人のための本ではない。
むしろ、何者かになろうとして、少し疲れてしまった人のために、そっと置いてある本だ。
ここに書かれているのは、成功の方法でも、人生の正解でもない。
書いているのは、自分の中でふと気づいた感覚。
みぞおちがスン……とする感じ。
呼吸が少し楽になる瞬間。
理由は分からないけれど、なぜか戻ってきてしまう場所。
読みながら、何かを理解しなくていい。
納得しなくてもいい。
役に立てようとしなくていい。
ただ、
「あ、これ知ってるかも」
という感覚が、ひとつでも残れば十分だ。
人は、説明しやすい自分、評価されやすい自分を身にまとうことで、
知らず知らずのうちに鎧を着ていく。
その鎧は、身を守るためのものでもある。
だから、無理に脱ぐ必要はない。
けれど、鎧が少しずつ溶け出すとき、人は弱くなるわけではない。
むしろ、余計な力を使わなくなる。
比べなくていい。
急がなくていい。
定義しなくていい。
問いを抱えたままでも、人はちゃんと生きていける。
この本は、前に進ませるための本ではない。
立ち止まったときに、自分の感覚を置き去りにしないための本だ。
何者かにならなくても、もう生きている。
その感覚を、静かに思い出すための一冊。
ポポッ🐦✨
何者かにならなくても、すでにここに在る感覚は消えない。
下のボタンで教えてください。
