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大人のイーダ図鑑──理由のない敵意の正体

著者:カオリ隊長

理由ははっきりしない。

けれど、
なぜか空気が硬くなる瞬間がある。

まだ何も起きていないのに、
少しだけ構えてしまう。

人はときどき、
理由のない敵意の気配をまとってしまう。

本書ではその正体を、
「イーダ」と呼ぶ。

イーダとは、
不安で揺れやすい心が、
崩れないために取る静かな威嚇の姿勢である。

怒鳴るわけではない。
暴れるわけでもない。

ただ、
視線で押す。
態度で上に立つ。
正しさや理屈で距離をつくる。

そしてその多くは、
本人にも自覚がない。

本書の前半では、
このイーダの姿を
「図鑑」として紹介する。

都会イーダ
ムキムキイーダ
所属装備イーダ
キラキラ威嚇イーダ
正義イーダ
理屈イーダ
先回り善人イーダ
充実限定イーダ
下克上イーダ
沈黙イーダ
そして出版イーダ。

人は、
思っている以上に原始人である。

文明の服を着ていても、
内側ではいまも縄張りを守り、
群れの順位を気にし、
軽く扱われないよう威嚇している。

だが、
それは未熟さではない。

それは、
生き延びてきた証でもある。

本書の後半では、
このイーダを否定するのではなく、
「精製する」という考え方を提示する。

イーダは原油に似ている。

未処理のままでは
周囲を汚す。

だが、
精製すればエネルギーになる。

理屈は構造化能力になる。
正義は基準をつくる力になる。
悔しさは創作の火になる。

原始人は消えない。

だが、
扱うことはできる。

人は文明人になったのではない。

原始人を連れて歩くようになっただけだ。

本書は、
他人を裁くための本ではない。

むしろ、
自分を少し笑うための図鑑である。

読んでいるあいだ、
きっと誰かの顔が浮かぶだろう。

そして最後には、
自分の顔に戻ってくる。

それでいい。

イーダはなくならない。

だが、
見えるようになれば、
少しだけ柔らかくなる。

ポポッ🐦✨

敵意に見えたものも、守ろうとした形だと気づいたとき、少しだけ扱い方が変わる。


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