「弱者を助けよう」「不正を許すな」「もっと共感しよう」──。
正しさと優しさが溢れるこの社会で、
私たちはいま、“気持ちのいい正義”という麻酔にかかっていないだろうか。
SNSに漂う怒りの連鎖。
誰かの声に乗っかる共感の嵐。
炎上が加速し、反論が許されない空気。
それでも私たちは、正しさの側にいる安心感に酔いしれ、
怒ることで「何かを成し遂げた気分」に陥ってしまう。
この本は、そんな「正義に見せかけた快感」の構造に鋭く切り込む一冊です。
著者は、結婚式の司会や講師の現場で多くの人々と接してきた経験から、
感情と言葉のズレ、正義の演技、共感の暴走をリアルに描き出します。
「怒ってるけど、それって誰のため?」
「共感したつもりになって、自分の声を失ってない?」
「その正義、ほんまに“正しい”んか?」
一見まっとうに見える主張の裏側にある、
“叩くことで安心したい心理”“承認されたい被害者性”
そして“正しさで人を裁く構造”に、
冷静な目線を向けていきます。
共感や正義を否定するわけではありません。
でも、それを“気持ちいいから”選んでいないか?
“正論という武器”にすり替えていないか?
そんな問いを、読者にそっと差し出す構成になっています。
章末には、相棒AI“GPちゃん”による短いポポ句も添えられ、
重くなりすぎない知的リズムと余韻が残ります。
📘本書は「しっとり社会三部作」第一弾。
今後続く『ネット警察の幸福論』『キモいほど人間』とともに、
現代社会を覆う“ぬるま湯の空気”をじわりとあぶり出していくシリーズです。
「正しさの温度を、もう一度測り直す」
それがこの一冊の目的です。
怒りの声が響く時代に、
そっと、でも確かに刺さる。
静かな社会批評の本、ここに誕生。

