「つながり」と「お得」が、同じレジで精算される時代。
この本は、そんな“人間関係のキャッシュレス化”を描いた社会エッセイです。
かつては「情」や「信頼」で回っていたはずのつながりが、いまやポイントのように可視化され、計算され、交換可能になっている。
誰かに親切にするのも、“損をしない範囲で”。フォローするのも、“得になる人だけ”。──そんな空気が、私たちの生活の隅々にまで染みこんでいます。
本書では、「ポイントカード的なつながり」と「クーポン券的な関係」を対比させながら、人間の中に潜む“打算”と“渇望”をあぶり出します。
誰かに還元してもらいたい気持ち。
見返りを期待してしまう自分。
いい人に見られたい承認欲求。
どれも悪ではないのに、気づけば心は割引シールだらけ。
そして、その“お得疲れ”が、社会全体をしっとりと覆っていく。
読むうちに、あなたの周りにもきっと思い当たる風景が見えてきます。
SNSの「いいね」ボタン、企業のポイント還元、クーポンコード、限定特典、フォロワー数──これらはすべて、現代人の“心の財布”を映し出す鏡です。
やがて私たちは、自分の価値までポイント換算しはじめる。「あの人よりも得してるか」「自分は損してないか」。
そのたびに生まれる小さな焦りや優越感こそ、この社会の新しい通貨なのかもしれません。
ポポッ🕊✨
(その“いいね”、レジ通す前にちょっと味見してるやろ)
けれど、著者は言います。
「ほんとうに大切なつながりは、“還元率”で測れない。」
それは、“今だけ特別”の向こう側にある、静かなやりとりのこと。
もらうためではなく、ただ渡したいと思える瞬間のこと。
この本は、“得を捨てる勇気”をやさしく問いかけます。
しっとり社会三部作の第2弾として、“湿気大国”で描かれた空気の続編でありながら、より静かで、よりリアルな「関係の経済」を見つめた一冊。
あなたの中に眠る「つながりの価値」を、そっと見直すきっかけになるでしょう。
──ピッ。
それは、心が誰かとつながった音。

