「輪ゴムほど未来が詰まっとる材料はないぞい」
そう語るのは、白鳥教授である。
① 本閉じ装置
学生が言う。
「教授、本が閉じてしまうんです」
フォッフォッフォッ……
教授は、輪ゴムを本にかけた。
「ほれ」
学生はしばらく見つめて言う。
「……ただの輪ゴムです」
「完成じゃ」
② 動画講義視聴装置
机に本を置き、輪ゴムをかける。
そこにスマホを立てる。
「動画講義視聴装置じゃ」
学生が言う。
「100円ショップにありそうです」
フォッフォッフォッ……
「ワシは0円じゃ」
③ マイクショック吸収装置
マイクスタンドに輪ゴムを何本も張る。
そこにマイクを浮かせる。
「振動が伝わらん」
即席ショックマウントである。
④ 指トレーニング器具
輪ゴムを指にかけ、開閉運動を繰り返す。
「声優の指神経トレーニングじゃ」
学生が言う。
「声優と関係あります?」
フォッフォッフォッ……
「ある気がする」
研究室には、束ねられた輪ゴムが無数にある。
白鳥教授は、それらを見つめて言う。
「まだ使える」
「それだけで、未来は残っとる」