小さな転校生、ポッポ田インインが教室にやってきた日。
ぼくの声は、固まったままだった。
かつて、大切にしていたうさぎを救えなかった記憶。
そのときから「言えない」が日常になったチノスケは、
言葉も感情も、すべてを胸の奥にしまい込んで生きていた。
そんなチノスケの前に現れたのは、
奇妙な耳当てをした転校生・インイン。
「それ、うさぎ耳なん?」という一言を飲み込んだあの日から、
チノスケの中で、何かがゆっくりと動き出していた。
放課後のグラウンド、夜の庭先、緑の泉の前——
言葉のかわりに、石を並べ、パチンコを作り、
“声にならない何か”を共有していくふたり。
ポポッ🕊✨
(声が出えへんのは、壊れてるんやなくて“守り続けてきた証”かもしれん)
やがて、過去の記憶とともに姿を現すハンター。
動けなかったあの日と同じように、
チノスケの前に“あの選択”が立ちはだかる。
「今度は言えるか?」
ぼくは声を取り戻せるのか。
いや、そもそも声ってなんなんだろう?
言葉がなくても通じるものがあるとしたら、
それは、インインとの時間が教えてくれた。
──これは、
「言えなかったぼく」が「黙ってても届いたこと」に出会うまでの物語。
うさぎ耳の転校生は、ほんとうにいたのか?
それとも、あの泉が見せてくれた奇跡だったのか。
幼き記憶の奥底で固まっていた声が、
インインと出会うことで、そっと溶けていく。
静かで、でも力強い、スン民たちへの応援童話。

