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脾臓さんの静かな怒り—— 免疫の会議室は今日も満員

著者:カオリ隊長

身体の中で、誰よりも真面目で、誰よりも“怒りを飲み込みがち”な臓器がいる。本作『脾臓さんの静かな怒り──免疫の会議室は今日も満員』は、そんな脾臓さんの静かな奮闘を描いた、臓器ヒューマニズム文学シリーズの中核ともいえる一冊である。

脾臓さんは、控えめで聞き上手。免疫細胞たちの調整役として、今日も会議室を取りまとめている。しかし、免疫の現場はいつも大混雑。新人抗体の暴走、古株マクロファージの愚痴、過労気味のリンパ球たち、外敵の侵入による緊急召集――混乱の種は尽きない。脾臓さんはトラブルを一つずつ静かに処理しながらも、内心では“怒り”を重ねている。

だが、その怒りは爆発しない。脾臓さんは知っているのだ。怒りは敵ではなく、守る力の一部だということを。だからこそ、彼女は怒りを押し殺すのではなく、静かに整え、小さな火を灯すように使っていく。読者は、脾臓さんのその姿を通じて「怒りの扱い方」を自然と学んでいくことになる。

ポポッ🕊✨
(そのイライラ、性格やなくて“守ろうとした結果の熱”かもしれんで)

物語には、いつものお騒がせメンバーも登場する。ポコリスは会議室の空気を読まずに爆笑を巻き起こし、腸子ちゃんは発酵の都合で遅刻し、膵臓くんは血糖変動のせいでテンパり気味。そんな仲間たちのドタバタと共に、脾臓さんの“静かすぎる怒り”がふと浮かび上がる瞬間がある。
それは、感情の奥にある本音が照らし出される一瞬でもある。

本書のテーマは「怒りは乱れではなく、調整のサイン」である。
免疫の仕事が忙しいとき、人間の心もざわつく。集中できない、何気ない一言で傷つく、やけに疲れやすい――それらは性格の弱さではなく、脾臓さんが“オーバーワーク中”なだけかもしれない。身体の世界と心の世界をつなぐように、物語はそっと寄り添う。

怒りという感情は、本来とても静かなものだ。叫び声よりも、胸の奥でくすぶる熱のほうが、よほど本質的である。その熱を見失わないことが、自己調整の第一歩となる。本書は、脾臓さんの静かで丁寧な怒りを通して、「大人の感情の扱い方」をユーモラスに、しかし確かな洞察とともに描き出している。

読み終えるころには、きっと脾臓さんに共感している自分に気づくはずだ。
「こんなに耐えて、こんなに支えてくれて、ありがとう」
そう思わず言いたくなる、小さくて大きな働き者の物語である。


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