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侯爵夫人とポポの関係 ──冷気と羽毛のあいだで

著者:カオリ隊長

人はだれしも、ほんの少しだけ誇りをまとって生きている。
その誇りが薄皮のように自分を守ることもあれば、
いつの間にか冷たい空気をまとわせてしまうこともある。

この物語の主人公──“侯爵夫人”と陰で呼ばれる女性は、
まさにその冷気の中で長く暮らしてきた人だ。
気取ったわけではない。
ただ、そうでもしていないと心のどこかが崩れてしまいそうで、
彼女は長いあいだ「立派な外側」を着続けてきた。

そんな日常に、ある日ふらりと一羽の小鳥が入り込む。
名前はポポ。
夫人が勝手にそう呼んだだけで、特別な由来はない。
しかし、この小さな存在が静かに羽ばたいたとき、
夫人の部屋に長く留まっていた“冷気”がわずかに揺らぎ出す。

ポポは何も語らない。
責めもしないし、慰めもしない。
ただそこにいて、ただ羽毛をふるわせるだけ。
けれど夫人には、その沈黙がときに観察の目に見え、
ときに嘲笑に感じられ、
ときに自分の裏側をすべて見透かしているような気さえした。

ポポッ🕊✨
(しゃべらへんのに全部バレてる気がする、それ人間あるあるやで)

実際には、ポポはただの鳥だ。
しかし、夫人の心の震えは、
その沈黙によってますます大きく照らし出されていく。
被害妄想は膨らみ、やがて彼女は
「ポポ、お前は焼き鳥にすることにした!」
と叫んでしまうほど追い詰められる。

けれど翌朝、ポポはいつもと変わらずそこにいる。
ただ一枚の羽毛を落とし、
それがふわりと夫人の鼻先に触れた瞬間──
彼女は鏡の中に“滑稽な自分”を見ることになる。

変わったわけではない。
劇的な再生が起こったわけでもない。
それでも、羽毛一枚ぶんだけ心が軽くなる。
そのわずかな揺らぎこそ、人が戻っていくときの最初の気配だ。

『侯爵夫人とポポの関係 冷気と羽毛のあいだで』は、
大人のための静かなリアルファンタジー。
派手な奇跡も、華やかな救いもない。
けれど、心がふっとほどける“ほんの少しの温度”がある。

孤独、虚勢、見栄、恥、自意識、そして救い。
人が生きるうえで避けられないすべてを、
小さな羽毛がそっと照らし出す。

読後には、
「誰の中にも羽毛が落ちる瞬間がある」
そんな余韻が静かに残る物語である。


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