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甲状腺さん、スイッチの入れすぎ注意。―― エネルギー配分という名の舞台裏

著者:カオリ隊長

身体の中には、“静かに働いているのに、実は全体の空気を決めている”存在がいる。本作『甲状腺さん、スイッチの入れすぎ注意。──エネルギー配分という名の舞台裏』は、その象徴ともいえる甲状腺の働きと葛藤を、物語形式で丁寧に描いた一冊である。

主人公は、几帳面で責任感の強い「甲状腺さん」。彼女の仕事はただひとつ――“体の全体スイッチを管理する”こと。どの時間にどれだけのエネルギーを配るか、どの感情にどれだけの余白を与えるか、どの思考にどれだけの熱量を渡すか。すべて彼女の繊細な判断にゆだねられている。まるで舞台裏の総監督のように、見えないところで忙しなく働き続けているのだ。

しかし、問題は“真面目すぎる”ことである。甲状腺さんは「やらなきゃ」「動かなきゃ」と自分を追い込むクセがあり、気付けばスイッチを入れすぎてしまう。体は活発に、心はそわそわし、夜は眠れず、朝は焦りが積み上がる。そんな悪循環が深まると、彼女は自分を責めてしまう。「ちゃんとやらなきゃいけないのに、どうしてこんなに疲れてしまうんだろう……」と。

本書では、そんな甲状腺さんの“働きすぎ問題”を軸に、身体と心のリズムの関係をユーモラスに描きながらも、読者の生活に直結する洞察を盛り込んだ。エネルギーとは、量ではなく“配分”で決まる。自分の中の配分係がどれだけ頑張りすぎているかを理解すると、急に世界が静かに見える瞬間がある。焦りが軽くなり、動けない自分を責める回数が減り、「整える」とはバランスを取り戻すことだと腑に落ちる。

ポポッ🕊✨
(その焦り、能力不足やなくて“配分係の過労”やで)

物語の中には、交感神経チーム、代謝の職人たち、感情の照明係など、たくさんの仲間も登場する。彼らはそれぞれに自分の役割を持ちつつ、全員が「甲状腺さんが無茶をしないように」願っている。とくに脾臓さんやポコリスなど、シリーズでおなじみのキャラクターたちが、時にツッコミを入れ、時に支えながら、舞台裏のバランスを整えていく姿は、読んでいるだけでどこか安心する。

“エネルギーが足りない”のではなく、“配分のほうが疲れている”
“やる気がない”のではなく、“スイッチの微調整が追いついていない”

本書は、そんな視点を自然に理解できる物語仕立ての一冊である。読み終えると、身体という存在がどれだけ自分に味方していたかを知り、甲状腺さんのひたむきな働きに思わず「ありがとう」と言いたくなる。

忙しい日常に押し流されてしまいそうなとき、エネルギー管理という舞台裏に目を向けると、自分の世界はもっとやさしくなる。甲状腺さんの物語は、その入り口になるだろう。


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