無意味芸術論

ピコン学入門|第2講:ドライヤー前現象

諸君。

ピコンは、なぜか、タイミングを選ばない。

より正確に言えば、
人間側の都合を、一切考慮しない。

ピコンは、こちらの予定表を見ていない。

その典型例が、ドライヤー前である。

髪を乾かそうとした瞬間。
両手がふさがる直前。
「何も考えなくていい時間」に入ろうとしたそのときに、ピコンは来る。

なぜ今なのか。
なぜこのタイミングなのか。

理由は、わからない。

しかし観察を続けると、
ひとつの傾向が見えてくる。

ドライヤー前とは、思考が「終わり」に向かう瞬間である。

  • 一日の区切り
  • 作業の終わり
  • 次の行動への移行点

人はこのとき、無意識に思考を手放す。

まとめようともしていない。
判断しようともしていない。
ただ、切り替えようとしている。

この無防備な隙間に、ピコンは現れる。

思考が終わる直前に、
別の思考が割り込んでくる。
それが、ドライヤー前現象である。

問題は、そのあとである。

多くの人はここで迷う。

捕まえるべきか。
無視するべきか。
濡れた頭のままスマートフォンに向かうか、
そのままドライヤーを使うか。

本講義の立場は明確である。

まず、乾かす。

ピコンは、捕まえたときよりも、
信じて流したときのほうが、質が上がる。

重要なピコンは逃げない。

逃げるピコンは、その日の出番ではない。

したがって、ドライヤー前にピコンが来た場合は、
「今ちゃうやろ」と一度だけ心の中でつぶやき、予定通り、髪を乾かすこと。

そのうえで、もし同じピコンが戻ってきた場合にのみ、軽く扱う。

なお、濡れた頭でスマートフォンに向かう行為は、完全に禁止するものではない。

ただし、週一回までとする。

以上。

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