無意味芸術論

パグ500匹バレエ団・第8演目『幻の白パグの舞』

──それは、存在したかもしれない、しなかったかもしれない。

開演前、誰かが言った。
「今日、白い子、来てるらしいで。」

黒パグも、フォーンパグも、ざわつく。
だが誰もその姿を見ていない。

舞台が始まる。
500匹のパグが、静かに回転しはじめる。

そのとき、誰もいない中央にだけ、スポットライトが落ちる。

観客は、確かに見たような気がする。
その光の中に、ふわっと、何かが舞った気がした。

だが記録には何も映っていない。
SNSには誰も写真を載せていない。
団員たちも、話をはぐらかす。

プルル団長に訊いても、
「せやったかな」と言って、するめを見つめるだけだった。

ただ、観客席の一番後ろの席だけ、いつもより白く輝いていた。

終演後、舞台に白い毛が1本だけ落ちていた。

それは本当に、白パグだったのだろうか?
それとも、500匹が“信じたことによって生まれた幻”だったのか?

🎤観客コメントより(抜粋)

💬「見えたような気がする。いや、見たと言いたい。」
─ 70代・女性(孫に誘われて)

💬「中央の光の中、パグの形をした“存在感”だけが舞ってました。」
─ 30代・男性(霊感あり)

💬「あれが見えた人、今夜は夢に注意してください。」
─ なぞの占い師(アンケートに紛れ込んでた)

💬「白い毛、家に持って帰った。」
─ 小学生(お母さんに怒られた)

🐾謎の補足:

この演目に限り、誰もリハーサルをしていない。
台本も、衣装もない。

しかし、観客全員が「たしかに“何か”が舞った」と感じている。

白パグとは何か?

それは、「希望」とも、「夢」とも、「ただの抜け毛」とも言われている。