昔々あるところに、 家電の仕組みに妙に詳しいおばあさんと、 テレビさえ映れば満足しているおじいさんがおりました——。
ある昼下がりのこと。
玄関のチャイムが鳴りました。
「こんにちは〜☺️
NHKのご案内で来ました〜」
スーツ姿の若い男の人が、 タブレットを片手に立っていたのです。
おじいさんは、 少し慌てました。
「おばあさん! テレビの人が来とる!」
しかしおばあさんは、 落ち着いた様子で玄関へ向かいました。
「うちは、 スマートテレビですねん☺️」
委託の人は、 少し黙りました。
「……はぁ?」
おばあさんは、 静かに続けます。
「チューナー、 ないんです☺️」
その頃おじいさんは、 居間で普通に地上波を見ておりました——。
しかしおばあさんは、 目を逸らしません。
「YouTubeとか、 そういう用途ですねん☺️」
委託の人は、 タブレットを見たり、 おばあさんを見たりしながら、 静かに混乱しておりました。
おじいさんは、 遠くから小声で聞きました。
「おばあさん…… 相撲、 映っとるんやが……」
おばあさんは、 振り返らずに言いました。
「静かに☺️」
しばらく沈黙が流れたあと、 委託の人は、 少し疲れた顔で頭を下げました。
「……また確認に来ます」
そう言って、 静かに去って行ったのです——。
玄関が閉まると、 おじいさんは不思議そうに尋ねました。
「スマートテレビって、 なんなんや?」
おばあさんは、 お茶をすすりながら、 静かに答えました。
「空気や☺️」
その意味を、 おじいさんは最後まで理解できなかったと、 今も村では語り継がれております——。