ポ子様は、お庭を抜けて、外の世界を見てみたくなりました。
見たことがないわけではないのに、
見ていない気がしていたからです。
門は、閉まっているようで、
近づくと、そうでもありませんでした。
「おまかせで」
誰にともなく、そう言ってから、
ポ子様は、外に出ました。
外は、少しだけ音が多く、
少しだけ、速く動いていました。
同じ空のはずなのに、
色が違って見えました。
しばらく歩くと、
鳥の名を掲げた灯りの看板がありました。
にぎやかな声が、扉の向こうからこぼれていて、
何かが、焼ける匂いがしました。
ポ子様は、その前で少しだけ立ち止まり、
何も決めないまま、通り過ぎました。
人がいて、
人でないものもいて、
その区別は、あまり意味を持っていないようでした。
誰かが笑い、
誰かが急ぎ、
誰かが立ち止まっていました。
ポ子様は、どれにもならず、
ただ、その間にいました。
しばらくして、
帰る場所のことを思い出しました。
戻る道は、来た道とは少し違っていて、
それでも迷うことはありませんでした。
お庭に戻ると、
前と同じようで、少しだけ違っていました。
何が変わったのかは、誰も言いませんでした。