昔々あるところに、 ポイント還元に異常に詳しいおばあさんと、 「ピッで買えた☺️」 という感動だけで生きているおじいさんがおりました——。
おばあさんは、 日々、 企業との戦いを続けておりました。
スーパー。 ドラッグストア。 通販サイト。 QR決済。
あらゆる場所で、 ポイントが飛び交っていたのです——。
「ポイントは、企業との攻防や☺️」
おばあさんは、 朝のお茶をすすりながら、 静かに言いました。
「向こうは、 “今すぐ使わせたい”んよ☺️」
「でもワシは、 “最大効率で回収したい”☺️」
おじいさんは、 サバ缶を食べながら、 ぽかんとしておりました。
「買い物って、 戦なんかのう……」
おばあさんは、 何も答えません。
その代わり、 複数のアプリを開き、 今日の還元率を確認し始めました。
「今日は、 “5のつく日”と“感謝祭”が重なるんよ☺️」
そう言いながら、 おばあさんは、 三回ほどブラウザを開き直しました。
入口を間違えると、 還元率が変わるからです——。
おじいさんは、 その様子を見ながら、 静かにつぶやきました。
「最近の買い物、 城攻めみたいやのう……」
その夜。
おばあさんは、 ポイント投資の評価額を見ながら、 少し微笑みました。
「今日は、+三十七円☺️」
その日、 おばあさんは、 少しだけ機嫌が良かったと伝えられております——。
しかしおじいさんは、 まだ理解しておりませんでした。
“期間限定ポイント” という、 時限式の呪いを——。