ポポ昔話 メルカリで家が消えた日

昔々あるところに、 “家の中をスッキリさせたい” という気持ちに目覚めたおばあさんがおりました——。

ある日おばあさんは、 スマホ片手に言いました。

「これ、 売れるんちゃう☺️」

それが、 すべての始まりだったのです——。

最初は、 使っていないバッグでした。

次は、 昔の食器。 読まなくなった本。 謎の置物。

おばあさんは、 次々と写真を撮り、 説明文を書き、 静かに出品していきました。

「即購入OKです☺️」

その頃にはもう、 家の至るところに、 梱包用ダンボールが積み上がっていたのです——。

おじいさんは、 その様子を見ながら、 少し不安そうにつぶやきました。

「最近、 物が減っとるのう……」

しかしおばあさんは、 止まりません。

服。 棚。 椅子。 収納ケース。

「使ってないなら、 旅に出した方がええ☺️」

そう言いながら、 今日も発送準備を進めていたのです。

ある日のこと。

おじいさんは、 いつもの座椅子へ座ろうとして、 静かに転びました。

「……ない。」

座椅子は、 昨日のうちに売れていたのです——。

おじいさんは、 床へ座り込みながら、 静かにつぶやきました。

「ワシの家、 少しずつ消えとるんやが……」

おばあさんは、 発送通知を押しながら、 満足そうに頷きました。

「循環や☺️」

その頃にはもう、 家の中には、 最低限の家具と、 大量の梱包材だけが残されていたと伝えられております——。

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