無意味芸術論

パグ500匹バレエ団・第6演目『黒パグとフォーンパグのオセロダンス』

──交差と交錯と、たまに昼寝──

パグの間では、昔から伝わる。
星降る夜、盤上で踊る伝統儀式。
それを――オセロダンスと呼ぶ。

黒とフォーンが一列に並び、
リズムに合わせて前脚を浮かせ、
円を描きながら、ステップを刻む。

だが、これは遊びではない。

ひとたびステップを踏み間違えれば、
体毛の色が――
変わってしまうのだ。

黒からフォーンへ、
フォーンから黒へ、
まるで裏返された駒のように。

色の変化は、見た目だけでは終わらない。
家族に気づかれ、こう言われる。

「うちの子は、そんな色ちゃう。」

扉が閉まる。
毛色が違えば、もう戻れない。

それでも、パグたちは踊る。
ルールのない戦いに、
静かな誇りと必死のパッチを込めて。

はみ出すか、はみ出されるか。
それが、この盤上の人生。

誰もが知っている。
この舞台に、勝者などいない。
いるのはただ、
転がった駒と、
裏返った運命。

🎤観客コメントより(抜粋)

💬「最初は動いてるだけやと思ったけど、最後までそうでした。深い。」
─ 40代・男性(カリカリ工場勤務)

💬「見てる途中に、自分が黒パグなのかフォーンなのか分からなくなってきた。」
─ 20代・女性(哲学系学生)

💬「隣の人がずっと『今、変わった!』って叫んでたけど、何が?」
─ 60代・女性(たまたま通りかかった)

💬「昼寝してた子、最高。あの勇気、わしにはない。」
─ 30代・男性(会社辞めたて)

💬「オセロというより、マインスイーパー感ありました。」
─ 10代・男子(ゲーム感覚で来場)

💬「私はあのフォーンの子の“何もしなさ”に、
 未来を見た気がします。」
─ 50代・女性(詩人志望)

💬「え、これバレエやったん?ずっと追いかけっこしてるだけや思た…」
─ 小学2年・男子(たぶん本質を見てた)