ポポ昔話 ネットが逃げた

昔々あるところに、 やたらテクノロジーに詳しいおばあさんと、 少し時代に取り残され気味のおじいさんがおりました——。

おばあさんは、 スマホのタッチ決済も、 バーコード決済もお手のもの。

「ポイントは、企業との攻防や☺️」

そう言いながら、 今日も還元率を見比べ、 クーポンを駆使し、 静かに最適化に励んでおりました。

一方おじいさんは、 「ピッで買えるとは、すごい時代やのう☺️」 と、 仕組みはよく分かっていないまま、 感動していたのです——。

ある夜のことでした。

突然、 テレビが止まり、 YouTubeも映らなくなってしまったのです。

おじいさんは立ち上がり、 障子の外を見ながら叫びました。

「おばあさん!!
ネットが逃げたんや!!」

おばあさんは、 静かにルーターを見つめました。

「……コンセント抜けとるだけや☺️」

しかしおじいさんは、 まだ理解しておりませんでした。

“再起動”という、 現代の祈祷術を——。

その夜。

おじいさんは、 ルーターを見つめながら、 ぽつりと言いました。

「最近の村は、 線が見えへんのに、 全部つながっとるんやなぁ……」

おばあさんは、 静かにお茶をすすりながら、 頷きました。

「便利なんやけどな☺️」

そうして今日も村では、 誰かが静かに、 ネットが逃げたと思い込んでいるのでした——。

関連作品