無意味芸術論

パグ500匹バレエ団・第10演目『真夜中の謝肉祭』

──それでも踊る。食べられた夢のぶんだけ。

開演は午前0時。

チケットには、手書きで「寝ててええよ」の文字。

舞台には、お面をつけたパグたちが現れる。

黒パグも、フォーンパグも、アプリコットも、白も、
全員が全員、何かを隠しながら踊っている。

舞曲はラヴェルのボレロかと思いきや、
途中からカリカリの噛む音が混ざる。

終盤、500匹が一斉に仮面を脱ぎ──

誰もいなくなる。

🐾団長の言葉(終演後)

「謝肉祭ってな、
 食べてまう前に踊るねん。
 夢のほうが、腹持ちええから。」

🎤観客コメントより(抜粋)

💬「見終わっても、始まってない気がする。不思議や。」
─ 40代・女性(2時間前に夕寝した)

💬「最後の誰もいないシーン、たぶんわたしが一番踊ってた。」
─ 20代・男性(夢遊病歴あり)

💬「仮面を外したとき、あの子……うちの亡くなった子に似てたんです。」
─ 60代・女性(手紙にて)

💬「カリカリの音が、なんか胸に刺さった。」
─ 高校生・男子(腹ペコ)

🎭謎の補足:

この公演のチケットは何もしなくてもポストに届く。
ただし、翌朝には消えている。

寝る前に観た人は、翌朝“しあわせのにおい”が残っているらしい。
でも、その香りは午後には完全に消える。