昔々あるところに、 備蓄に命をかけるおばあさんと、 最近やたらサバ缶ばかり食べているおじいさんがおりました——。
おばあさんは、 地震のニュースを見るたびに、 水と、非常食と、トイレの凝固剤を、 静かにポチっていたのです。
「“備え”は、裏切らんのよ☺️」
そう言いながら、 今日もローリングストックの棚を整えておりました。
その結果、 納戸には、 大量のサバ缶が並ぶようになったのです——。
味噌煮。 水煮。 醤油煮。
そして、 なぜか少しだけ残された、 “レモンバジル味”——。
おじいさんはある日、 静かにつぶやきました。
「なんで最近、 缶詰ばっかりなんやろ……」
そう言いながら、 今日もサバ缶を口へ運んでいたのです——。
おばあさんは、 賞味期限を確認しながら、 静かに答えました。
「期限近いのから回してるんよ☺️」
しかしおじいさんは、 まだ理解しておりませんでした。
このサバ缶生活が——。
あと四十七缶、 続くことを——。
その夜。
おばあさんは、 納戸を見つめながら、 ぽつりと言いました。
「討ち入りや☺️」
缶詰たちは、 味噌煮隊、 水煮隊、 醤油煮隊に分かれ、 静かに食卓へ向かったと伝えられております——。