昔々あるところに、 ロボット掃除機に 「ロボすけ」 という名前をつけているおじいさんがおりました——。
ロボすけは、 毎朝静かに起動し、 床のゴミを吸いながら、 家の中を巡回しておりました。
おじいさんの最近の役目は、 ロボすけの邪魔になるものを、 片っ端から退けていくことでした。
椅子。 コード。 新聞紙。 サバ缶の箱。
おじいさんは、 今日もせっせと、 ロボすけの進路を確保していたのです——。
「ロボすけ、今日も頼むぞ☺️」
そう言って、 頭を撫でながら送り出すのが、 おじいさんの日課でした。
しかしロボすけは時々、 座布団の段差や、 謎のコードに引っかかり、 その場で静かに力尽きることがあったのです。
「ピピッ……」
ある日のこと。
昼を過ぎても、 ロボすけの姿が見当たりません。
おじいさんは、 部屋中を探し回りました。
机の下。 カーテンの裏。 押し入れの前。
しかし、 どこにもおりません。
おじいさんは、 少し焦った声で叫びました。
「おばあさん!!
ロボすけが遭難しとる!!」
おばあさんは、 スマホから目を離さず、 静かに言いました。
「大体、玄関や☺️」
おじいさんが玄関へ向かうと、 そこには、 電池切れで動けなくなったロボすけが、 力尽きておりました——。
「ロボすけぇ……」
おじいさんは、 そっと抱き上げ、 充電器の前まで運びました。
その姿はまるで、 傷ついた仲間を救出する兵士のようだったと、 今も村では語り継がれております——。
しかしおじいさんは、 まだ気づいておりませんでした。
自分がすでに——。
“ロボット掃除機の補助ロボット” になっていることを——。