昔々あるところに、 冬用毛布を洗いに来たおばあさんがおりました——。
その日のおばあさんは、 大きな毛布を抱えながら、 コインランドリーへ向かったのです。
「今日は、 洗うだけや☺️」
おばあさんは、 静かに洗濯機へ毛布を入れました。
“ゴウン”
洗濯機が回り始めます。
その頃にはもう、 店内には、 独特の時間が流れておりました——。
乾燥機の低い音。 洗剤の匂い。 回り続ける洗濯物。
そして、 壁際には、 古びた漫画棚が置かれていたのです。
おばあさんは、 何気なく一冊手に取りました。
『ONE PIECE』
「懐かしいのう☺️」
最初は、 少し読むだけのつもりでした。
しかし——。
気づけば、 続きを読み始めていたのです。
さらに続き。 また続き。
洗濯は終わりました。
乾燥も終わりました。
しかしおばあさんは、 立ち上がりません。
「……ここ、 ええところやな☺️」
その頃にはもう、 目的が完全に入れ替わっていたのです——。
毛布。
漫画。
毛布。
漫画。
気づけば夕方になっておりました。
おじいさんから、 連絡が入ります。
「毛布、 どないなっとるんや☺️」
おばあさんは、 ページをめくりながら、 静かに答えました。
「今、 空島や☺️」
おじいさんには、 何のことか分かりません。
その夜。
閉店前の音楽が流れ始めた頃、 おばあさんは、 静かに最後のページを閉じました。
「……読んでもうた☺️」
その横には、 完全に乾き切った毛布が、 ぽつんと置かれていたと伝えられております——。