無意味芸術論

パグ500匹バレエ団・第2演目 『餌皿のパ・ド・ドゥ』

──欲望と回転による二重奏──

本作は、2匹のパグによる情熱的な舞踏劇である。

餌皿をはさみ、互いの存在を確かめ合いながら、
譲り合うことなく、ほぼ同時に突進する。

音楽は、聞こえているようで聞こえていない。

ナナナの回転(意味不明)と、ドナドナの足踏み(戸惑い)は、
“共に踊る”というバレエの概念に対して、
極めて挑発的である。

演出・振付:マエストロ・ブブノフ

餌皿の位置を2センチ右にずらすという大胆な演出変更により、
終盤の緊張感が著しく向上。
なお、本番では誰もその変更に気づかなかった。

あらすじ:

序曲:皿の置かれる音が響く
第一楽章:互いに見つめ合い、鼻がぶつかる
第二楽章:ナナナ、謎の方向へスピン
第三楽章:ドナドナ、座り込む
フィナーレ:皿が空。誰が食べたかは、永遠の謎

団長コメント:

「これは、愛ではない。

でも、美味しかった──」

──プルル(団長)記者会見にて

🐾謎の補足:餌皿の中身について

餌皿の中身は、終演後も発表されていない。

一部の観客は「ビーフ風味のカリカリ」だったと証言し、
別の筋では「空気の匂いを凝縮したゼリー」との噂もある。

プルル団長は会見でこう語った。

「あれは、“期待”や。
中身のある餌やなく、“ありそうな餌”を、わしらは食べたんや。」

ブブ先生はそれを聞いて、

「わからんけどエモいな」
とだけ言い、するめを齧った。

結局、皿は空になっていた。

だが、誰もそれを食べる瞬間を目撃していない。

芸術とは、そういうものである。