ポポ昔話 置き配の術

昔々あるところに、 通販を使いこなしているおばあさんと、 荷物は手渡しで受け取るものだと思っているおじいさんがおりました——。

ある日のこと。

おばあさんは、 通販サイトを見ながら、 静かに言いました。

「置き配にしとく☺️」

おじいさんは、 少し驚きました。

「置いて帰るんか!?」

おばあさんは、 慣れた様子で頷きます。

「最近は、 それが主流なんよ☺️」

しかしおじいさんには、 どうしても理解できません。

「そんな…… 勝手に置いていってええんか?」

その頃にはもう、 世の中の荷物たちは、 人知れず玄関へ現れ、 静かに消えていく時代になっていたのです——。

ある日の昼下がり。

玄関の外で、 “コトッ” という音がしました。

おじいさんは、 静かに立ち上がります。

しかし、 外には誰もおりません。

あるのは、 ぽつんと置かれた段ボールだけでした——。

「……おばあさん。」

「来た。」

おばあさんは、 まるで天から授かり物でも届いたような顔で、 箱を抱えました。

しかしおじいさんは、 まだ不安そうです。

「誰もおらんかったぞ……」

おばあさんは、 静かに言いました。

「置き配の術や☺️」

その日からおじいさんは、 “コトッ” という音に敏感になりました。

昼。 夕方。 時には朝。

音がすると、 そっと玄関を確認しに行くのです——。

そしてある日、 ついにおじいさんは、 配達員の姿を目撃しました。

しかし——。

荷物を置いた瞬間、 風のように去って行ったのです。

おじいさんは、 静かに呟きました。

「忍者や……」

おばあさんは、 段ボールを開けながら、 満足そうに頷きました。

「プロや☺️」

そうして今日も村では、 誰にも気づかれぬまま、 静かに荷物が届けられているのでした——。

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