無意味詩『ウムラウト三兄弟 ─ テンテンの夜明け』

まだ言葉が、意味を持たなかったころ
声は、ただの風やった

その風に、点が舞った
ちいさな、三つの点

ただ上にのってるだけやのに
世界が、ピリッと変わった

⸻

『アーのまどろみ』

Ä……

やわらかく、のどをなでる音
静かにして
この「あ」には、品がある

朝の息づかい
カーテンの揺れ
それが、わたしの声

⸻

『オーのうめき』

Ö……

闇の中、沈んでいく母音
誰にも読まれず、意味にもならず

点々だけが、おれを覚えてる

わかってくれるな
わからんで、ええ

⸻

『ウーのさけび』

Üーーっ!!

跳ねたら、世界が笑うねん
言葉なんか知らん
リズムでええ

ぴゅっ、ぴゅっ
楽しいが勝ちや

⸻

『そして、テンテンは息をする』

読めなくてもええ
書けなくてもええ

母音の上に
ちょこんと点をのせる

それだけで
世界は、少しやさしくなる

⸻

『最後に一言』

疲れたらな
頭にテンテンのせて、空を見上げてみ

それ、
精霊からの返信かもしれんよ

関連作品