ドロドロ、それは老廃物か自分自身か。
哲学する足裏
名付けた者は去り、名前だけが歩き出す。
樹液シートというネーミングの奇跡と悲劇
夜な夜な貼られる、名もなき信仰。
「樹液シート」──だれが名付けたんや。
登録もされとらんのに、
全国のドラッグストアで君臨している。
胡散臭さを極めたら、もはや清い。
木でもない。液でもない。
けど、わたしは貼る。
なにかを吸い取ってくれる気がするから。
めくった朝のドロドロに、
「これがあたし」と思ったら、
一日、ちょっとマシな気ぃしてくる。
願いが出たのか。
汚れが出たのか。
それとも、
ただの濡れティッシュ現象か。
貼る者は問わない。
信じる者は救われる。
足裏教の、夜明けである。
***
貼られたのは、夜のことだった。
足の裏に、ぺたり。
まるで何も言わずに、ぬるっと馴染んで、
わたしは眠った。
朝になって、
それはどす黒く、
見るに堪えないドロドロを抱えて
わたしの足元に、いた。
これが……わたし?
老廃物なのか。
それとも心の澱なのか。
捨てられるために生まれてきたみたいな顔して、
ゴミ箱の中で、静かだった。
名前は「樹液シート」。
商標登録されていない。
だから誰でも名乗れるし、
どこにでもいる。
でも、なぜか信じてしまう。
胡散臭さの中にある、
奇妙な信頼感。
「朝にはドロドロになります」
堂々としたコピーに、
なぜかルンルンしてしまうのは、
わたしの弱さだろうか。
「おまえの足の裏から、なにが溶けた?」
— それは感情か、過去か、老廃物か。
誰かの権利じゃない名を、誇らしげに名乗って。
──貼られし者、ルンルン。
今日もまた、
何かを吸い取って、
知らん顔で、剥がされていく。