対詩『オブラートに包まれた世界』

この世界では、
言葉はやさしく加工される。

「今度の週末、映画でもご一緒しませんか?」
「またタイミングが合えばぜひ」

「ちょっとポエム書いてみたんやけど、読んで見てくれる?」
「すごく世界観があるね」

角は削られ、
温度は整えられ、
誰も傷つかない形にされていく。

ほんまの理由は、
言葉の奥に沈められて、
取り出されることはほとんどない。

その代わり、
関係はゆるやかに保たれて、
空気はなめらかに流れていく。

ただ、ときどき、
なにが本当で、
なにがやさしさやったのか、
わからなくなる。

それでもこの世界では、
それが「思いやり」って呼ばれる。

ポポッ🕊✨
詩が浮いてるんじゃない、世界が沈んでるだけや。

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