画面の中で、
数字が静かに減っていく。
誰も音を立てていないのに、
確実に、削られていく。
−970円。
頭の中で勝手に変換される。
ミラノドリア、約3杯。
いや、正確には3.2杯。
中途半端に腹が立つ。
なぜドリアで換算した。
なぜ食べ物にした。
なぜこんなにも、
現実味を帯びてしまうのか。
株は、数字だ。
ただの評価額だ。
まだ確定していない、途中の記録だ。
そう分かっているのに。
くそう。
くそう。
くそう。
この「くそう」は、
金額じゃない。
思い通りに動かない世界への、
小さな抵抗だ。
そしてその抵抗を、
手放さずに持ち続けている限り、
まだ、負けていない。
ドリアはまだ、焼けていないだけだ。