ポポ昔話 別の村の顔パス

昔々あるところに、 ログイン画面に少し疲れているおばあさんと、 “別の会社で入れる” という仕組みがまったく理解できないおじいさんがおりました——。

ある日のこと。

おばあさんは、 新しい通販サイトへ登録しようとしておりました。

すると画面には、 こう表示されたのです。

「Googleで続ける」
「Appleで続ける」

おじいさんは、 静かに首をかしげました。

「なんで、 魚屋の紹介状で、 薬屋に入れるんや☺️」

おばあさんは、 少し笑いながら言いました。

「まぁ…… 顔パスみたいなもんや☺️」

しかしおじいさんには、 ますます分かりません。

「別の村の顔パスやないか」

その頃にはもう、 世の中のサービスたちは、 互いに顔を貸し合いながら、 静かに繋がっていたのです——。

ある日のこと。

おばあさんは、 いつものように “Googleで続ける” を押しました。

しかし——。

「ログインしてください」

まずGoogle側で、 ログインが切れていたのです。

さらに、 確認コードは、 別の端末へ送られていました。

その端末も、 なぜかログインが切れていたのです——。

おじいさんは、 その様子を見ながら、 静かにつぶやきました。

「村の門番同士が、 揉めとるんか……?」

おばあさんは、 スマホとタブレットを行ったり来たりしながら、 静かに疲弊しておりました。

「最近の村、 入口多すぎるんよ☺️」

その夜。

ようやくログインできたおばあさんは、 少し遠い目をしながら言いました。

「昔は、 名前だけで入れた気がするんやけどなぁ……」

おじいさんは、 静かに頷きました。

「ええ時代やったのう☺️」

そうして今日も村では、 別の村の顔パスが、 静かに使われ続けているのでした——。

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