ポポ昔話 クーポンは明日まで

昔々あるところに、 クーポンの期限に少し弱いおばあさんと、 必要な物だけ買えばええと思っているおじいさんがおりました——。

ある夜のこと。

おばあさんのスマホに、 一通の通知が届きました。

「本日23:59まで使える、 15%OFFクーポン☺️」

おばあさんは、 静かに画面を見つめました。

「……来たか。」

おじいさんは、 横でみかんを剥きながら聞きました。

「何がや?」

おばあさんは、 すでに通販サイトを開いております。

「クーポンや☺️」

最初は、 冷静だったのです。

「別に、 今すぐ必要なもんはない☺️」

しかし——。

画面には、 さらにこう書かれていました。

「あと1,200円で送料無料」

「ポイント5倍」

「クーポン併用可」

おばあさんの目が、 静かに光り始めました——。

気づけば、 カートには、 謎の収納ケース、 詰め替え用洗剤、 なんか良さそうな布が入っていたのです。

おじいさんは、 その様子を見ながら、 静かにつぶやきました。

「それ、 要るんか……?」

おばあさんは、 真剣な顔で答えました。

「今買わんと、 損なんよ☺️」

そして23時47分。

おばあさんは、 ついに決済ボタンを押しました。

「……勝った☺️」

おじいさんは、 しばらく黙っていましたが、 やがて静かに言いました。

「いらん物を買うて、 得とは何なんや☺️」

その問いに、 おばあさんは答えませんでした。

翌日。

大量の段ボールを見ながら、 おばあさんは静かにつぶやきました。

「まぁ…… 日用品やし☺️」

そうして今日も村では、 “お得” という名の荷物が、 静かに届き続けているのでした——。

関連作品