昔々あるところに、 新しい仕組みには一応挑戦するおばあさんと、 店員さんと少し喋るのが好きなおじいさんがおりました——。
ある日、 いつものスーパーへ行くと、 入口の横に、 大きな機械が並んでおりました。
「セルフレジ導入☺️」
という札が、 誇らしげに立っていたのです。
おばあさんは、 少し興味深そうに近づきました。
「最近は、 これが主流なんよ☺️」
しかしおじいさんは、 どこか落ち着きません。
「……あの兄ちゃん、 おらんなぁ。」
レジにいた、 感じの良いアルバイトの青年が、 見当たらなかったのです——。
「袋いりますか☺️」
「今日は暑いですね☺️」
そんな、 ほんの少しの会話が、 いつの間にか消えておりました。
代わりにそこにいたのは、 静かに光る機械だけだったのです——。
おばあさんは、 カゴの商品を、 ひとつずつ通し始めました。
「ピッ」
「ピッ」
すると突然、 機械が大きな声で言いました。
「商品を、 袋詰めエリアへ移動してください」
おじいさんは、 少しビクッとしました。
「怒られたんか!?」
おばあさんは、 静かに首を振ります。
「案内や☺️」
しかし機械は、 その後も何度も喋りました。
「予期しない商品があります」
「係員をお呼びください」
おじいさんは、 だんだん疲れてきました。
「最近の門番、 厳しすぎるのう……」
その頃にはもう、 セルフレジは、 買い物というより、 試練の門みたいになっていたのです——。
会計を終えたあと、 おばあさんは、 静かに袋を持ち上げました。
すると機械が、 明るい声で言いました。
「ありがとうございました☺️」
おじいさんは、 少し黙ったあと、 ぽつりと呟きました。
「……なんか、 村から会話が減っとるなぁ。」
おばあさんは、 レシートを畳みながら、 静かに頷きました。
「便利なんやけどな☺️」
そうして今日も村では、 誰とも喋らぬまま、 静かに買い物が終わっていくのでした——。