事故り詩 |事故り詩とは何か

事故現場は、日常にあり。

この記録簿には、
日常で発生した小さな事故が収められている。

といっても、
誰も怪我はしていない。
救急車も来ない。
警察も来ない。

ただ、
「なんでやねん」
とつぶやきたくなる瞬間だけが、
静かに記録されている。

スマホを向けた瞬間に
そっぽを向く犬。

絶妙なタイミングで
会話を壊す沈黙。

誰も説明してくれない
生活の小さなズレ。

それらはたいてい、
笑うほどでもなく、
怒るほどでもなく、
しかし確かに
どこかで事故っている。

この公文書館では、
そうした日常の小事故を
短い詩として保存する。

それを
「事故り詩」と呼ぶ。

ここに記録される事故は、
すべて無傷である。

ただし、
少しだけ世界観が揺れる。


朝のパンを焦がした人
靴下を左右で間違えた人
話しかけようとして
「あ、いえ、はい」って言って黙った人

それ
全部事故。

でもな、
そのとき、
世界がちょっと笑ってくれるねん。

誰かのウフフ
誰かのポポッ
誰かの「あるある〜」が
空気にまざると

焦げたパンのにおいも
ちょっと懐かしくなるやろ?

人は
ちゃんとしてるようで
実はポケットの奥に
いつも一個、落ちてる柿ピーを入れてる。

気づいたときには
それを拾って、
そっと口に入れてる。

ああ
きょうも事故った。

でも、ちょっと
おいしかった。

ポポッ🕊✨(←読了音)

詩が浮いてるんじゃない、
世界が沈んでるだけや。

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