事故り詩『効くときだけ遠い』

事故現場は、日常にあり。

テレビ、つける

ちょっと音量上げたい
ちょっとだけでええねん

リモコン、押す

……無反応

もう一回、押す

ちょっと強めに押す

……無反応

角度、変える

ちょい上から
ちょい下から
斜めから

……無反応

なんやこれ

さっきまで普通に使えてたやん

電池か

いやでもな

完全に切れてる感じちゃうねん

“いけるときはいける”顔してる

試しに、違うボタン押す

チャンネル変わる

なんでやねん

さっきのやつだけ、効かへん

もう一回戻す

……戻らへん

ちょっと近づく

テレビの前まで行って
ほぼ直撃距離

押す

……効く

そこなんや

その距離なんや

さっきの場所では
届かへんかった信号が

この一歩で、通る

ソファに戻る

また押す

……無反応

なんでやねん

効くときだけ
やたら遠い

その距離感だけ
一生つかまれへん

ポポッ🕊✨(←読了音)

詩が浮いてるんじゃない、世界が沈んでるだけや。

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