袋を開けた瞬間や。
まず、ピーが狙われる。
指が、迷いなくピーナッツをつまみにいく。
あの一瞬の判断。
あれはもう、無意識や。
人は、やわらかさを先に求める。
安心できるもの。
すぐに受け入れられるもの。
ピーは、そこにあるだけで“選ばれる側”や。
せやけどな、気づいたときには──
柿の種ばっかり、残ってる。
皿の上に、取り残されたように並ぶ、あの尖りたち。
…これ、人生にもあるやろ。
「ええ人」ばっかり先に消えて、
主張の強いやつだけ残る場面。
「なんでやねん」って思うけど、
これ、ちゃんと理由あるねん。
選ばれることと、残ることは、別や。
ピーは選ばれる。
でも、残らへん。
柿は残る。
でも、最初には選ばれへん。
どっちがええか、なんて話やない。
ただ、役割が違うだけや。
カキタネ仙人は言うた。
「先に選ばれる者は、早く消える。
最後まで残る者は、場を支える。」
「どちらも、袋には必要なのじゃ。」
ちゃんと混ぜていけ。
…なるほどな。
ほな、どうしたらええ?
ピーばっかり摘まれへんようにする方法?
そんなもん、簡単や。
混ぜとけ。
ちゃんと、混ぜとけ。
ピーと柿が、偏らんように。
どっちも、ちゃんと口に入るように。
人生も一緒や。
やさしさだけ先に使い切るな。
尖りだけ残して終わるな。
自分の中で、ちゃんと混ぜていけ。
ピーだけ摘まれへんようにするんやなくて、
ピーも柿も、一緒に味わわれる状態を作るんや。
それが、ほんまの「旨味」や。
…せやけどな。
最後にちょっとだけ、
皿の上に残った柿の種を見て、思うんや。
「お前らも、なかなかやるやんけ」って。