口に入れた瞬間、違和感が走る。
「……ん?」
なんか違う。
いつもの柿ピーやのに、
ひと粒だけ、妙に風味が立ってる。
青のりや。
最中に混じった、青のりピーナッツ。
予定調和の袋の中に、
急に現れる“想定外”や。
異物は、最初ちょっと嫌がられる。
人はな、慣れた味が好きや。
いつもの。
安心できるやつ。
説明せんでもわかるやつ。
せやから、ちょっと違うもんが混じると、
一回、戸惑う。
「これ、当たりなん?」
「ハズレちゃうん?」って。
でもな。
その“違い”があるからこそ、
全体の輪郭が見えてくることもある。
同じだけでは、味は眠る。
全部が同じ味やったら、
舌はそのうち慣れてまう。
刺激も、個性も、
だんだん感じにくくなる。
でも、そこにひと粒、
異端が混じる。
すると急に、
「いつもの味」までくっきりしてくるんや。
差異ってな、
目立つためだけにあるんやない。
全体を生かすために、
必要なズレとして現れることがある。
浮いてるんやない。効いてるんや。
カキタネ仙人は言うた。
「異なるものは、排除されるために現れるのではない。」
「全体の味を、際立たせるために現れるのじゃ。」
…深いな。
周りと違うと、
つい不安になるやろ。
浮いてるんちゃうか。
馴染めてへんのちゃうか。
変やと思われてるんちゃうかって。
でもな。
その“違い”があるから、
場が締まることもある。
誰かの記憶に残ることもある。
味って、そういうもんや。
残されることも、ある。
ただしな。
青のりが苦手な人に当たったら、
普通に避けられる。
それもまた現実や。
せやけど、
避けられる可能性があるからって、
最初から無味になる必要はない。
カキタネ仙人は最後にこう言うた。
「異端であることは、孤独の入口かもしれぬ。」
「されど、それは旨味の入口でもあるのじゃ。」
…ええこと言うなあ。
浮いてるんやない。
効いてるんや。