昔々あるところに、 パスワード管理に少し疲れ始めているおばあさんと、 何かあるたびにすぐ電話をかけたがるおじいさんがおりました——。
ある日のこと。
おばあさんは、 いつものように通販サイトを開こうとして、 静かに固まりました。
「……開かへん。」
何度入力しても、 画面には、 “パスワードが違います” と表示されます。
おじいさんは、 すぐに立ち上がりました。
「大変や!!
カスタマーセンターに電話や!!」
しかしおばあさんは、 まったく慌てておりません。
「まぁまぁ☺️」
そう言いながら、 静かにお茶をすすったのです。
おじいさんは、 部屋の中をうろうろ歩き始めました。
「乗っ取られたんちゃうか!?」
「ワシらの情報、 全部見られとるんちゃうか!?」
おばあさんは、 老眼鏡を少し上げながら、 静かに言いました。
「再設定すればええ☺️」
その一言で、 おじいさんは少し黙りました。
しかし問題は、 そこからでした。
新しいパスワードを設定しようとしても、 条件が多すぎたのです——。
英数字。 記号。 大文字。 小文字。
「前回と同じものは使えません」
おばあさんは、 しばらく天を仰ぎました。
「なんでそんな、 秘密結社みたいになるんやろなぁ……」
おじいさんは、 横で不安そうに聞きました。
「紙に書いたらあかんのか?」
おばあさんは、 静かに頷きました。
「最終的には、 みんな紙や☺️」
その夜。
おばあさんは、 大量のパスワードを書き込んだノートを、 静かに棚へ戻しました。
しかし翌日、 どのサービスのパスワードだったのか、 自分でも分からなくなっていたと伝えられております——。