昔々あるところに、 電話は鳴ったら出るものだと思っているおじいさんと、 知らない番号には絶対出ないおばあさんがおりました——。
ある日の昼下がり。
テーブルの上のスマホが、 突然鳴り始めました。
「♪〜」
おじいさんは、 すぐに立ち上がります。
「おばあさん! 電話やぞ☺️」
しかしおばあさんは、 まったく慌てません。
スマホをちらりと見て、 静かに言いました。
「知らん番号や☺️」
そして、 そのまま放置したのです——。
おじいさんは、 少し驚きました。
「出んのか!?」
おばあさんは、 落ち着いた様子で頷きます。
「今は、 まず検索するんよ☺️」
そう言いながら、 番号を検索窓へ打ち込みました。
すると画面には、 村人たちの書き込みが現れたのです——。
「水回り点検でした」
「営業です」
「しつこいです」
「出なくてOK」
おじいさんは、 静かに固まりました。
「まだ喋ってもないのに、 評判ついとるんか☺️」
おばあさんは、 深く頷きました。
「村の口コミや☺️」
その頃にはもう、 電話というものは、 出る前に正体を調べる時代になっていたのです——。
さらにおばあさんは、 静かに言いました。
「用事あるなら、 文字で来る☺️」
おじいさんは、 少し寂しそうに笑いました。
「昔は、 声が先やったんやがのう……」
その夜。
結局その番号からは、 二度とかかって来ませんでした。
おじいさんは、 静かに空を見上げながら、 ぽつりと呟きました。
「最近の村人、 みんな電話を避けとるなぁ……」
おばあさんは、 LINEを返しながら、 静かに頷きました。
「気楽なんよ☺️」
そうして今日も村では、 誰も電話に出ないまま、 静かに一日が過ぎていくのでした——。