無意味詩『声なき声の分娩室』

声が出なかった。
出そうとしたけど、
どこにも届かん気がして、やめた。

でも、
それでも、
感情は出たがってた。

誰にも見せられない場所で、
誰にも聞かせたくない声が、

たしかに、
生まれた。

声なき声の、
分娩室で。

分娩室の壁に飾られていたのは、
鮮明なサバの絵だった。

なぜ。

この部屋に、いま、このタイミングで、
サバ。

何を産もうとしてる私に、
サバは何を語りかけているんや。

やめてくれ。
今だけは、
サバの目と目を合わせたくないんや。

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