カバーをピッチリと、
装着せよとのお達し。
そのために、
キミは生まれてきたのか。
ソファとカバーの、
スキマにねじこまれるためだけに。
シュポン。
シュポン。
たったそれだけの使命。
なのに――
なぜキミは、三日後に消えるのか。
背もたれの奥か、
それとも、次元の狭間か。
気づけばカバーはズルズル、
キミのいた場所には、空気だけ。
あの「シュポン」という音に、
ちょっとした達成感があった。
なのに、
誰も感謝しない。
誰も呼び戻さない。
発泡スチロール棒よ。
キミはきっと、
名もなき任務を担う者たちの象徴。
言うなれば――忍。
そっと働き、
気づかれず、
静かに消える。
だけど――
キミがいたから、
ソファは、整っていた。
ありがとう。
見つけたら――
今度こそ、テープで止めておくよ。