ある日、山のふもとで、白いパグたちが集まった。
──白パグのオフ会。
「最近さ、布団と間違えられててん」
「わかる。電気ついてんのに『あれ?ここ座布団やった?』って乗られてん」
「しかも、冬はちょっと人気あるけど、夏は『暑苦しい』とか言われんねん」
笑ってるけど、どこか切ない。
白いというだけで、
「パグらしくない」と言われてきた。
でも、白いからこそ、気づけたこともある。
「闇の中で、他の誰より目立ってまうんや」
「そやけどな……目立つぶん、誰よりも早く“気づかれる”ねんで」
ひとりの白パグが、そっと言った。
「うち、ペットショップに並んでた頃から、
みんなと違うって言われとった。
せやけど、おばあちゃんが見つけてくれたんよ。
“この子、ええ白しとる”って。
それが初めて、“白”が誇らしくなった瞬間やってん──」
沈黙のあと、ふわっと鼻が鳴る音が重なった。
白い鼻息。
白いまぶた。
白い背中。
布団みたいでもええ。
認められんでもええ。
ワイらは、白として生まれて、白として生きていくんや。
──そしてまた一匹、
布団に間違われながら、
誰かの膝の上で目を閉じた。
あとがき(作者より)
「白パグ」という色は、公式の犬種基準には載っていないそうです。
でも、そんなの関係ない。
真っ白な子たちのまなざしは、優しくて、たしかに世界の中にいます。
認められるかどうかではなく、
その存在が誰かの膝をあたためてくれている。
それだけで、十分やと思いました。