スン民エッセイ第8記録『いや、ちょっと待て』

スン民には、ひとつだけ大事な習慣がある。

それは、ときどき立ち止まることである。

何かを言われたとき。
何かを頼まれたとき。
何かに巻き込まれそうになったとき。

すぐに反応しない。

すぐに答えない。

その代わりに、こうつぶやく。

「いや、ちょっと待て」

この一言で、流れは少しだけ変わる。

そのまま進めば、
なんとなく引き受けていたかもしれないこと。

なんとなく同意していたかもしれないこと。

なんとなく巻き込まれていたかもしれないこと。

それらが、一度止まる。

人は、流れの中にいるとき、あまり考えていない。

その場の空気。
相手の勢い。
なんとなくの流れ。

それらに乗って、判断してしまう。

だからこそ、スン民は止まる。

「いや、ちょっと待て」

それは否定ではない。
反抗でもない。

ただ、自分のための確認である。

これは本当に、自分がやることだろうか。

これは本当に、自分が同意することだろうか。

これは本当に、自分の意思だろうか。

一度止まるだけで、見えるものが変わる。

流れの中では見えなかったものが、少しだけ輪郭を持つ。

そしてスン民は、静かに選ぶ。

進むか、やめるかを。

その一拍が、
あとから大きな差になる。

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