昔々あるところに、 荷物の到着予定に一日を支配されるおばあさんと、 「そのうち来るやろ☺️」 と思っているおじいさんがおりました——。
ある朝のこと。
おばあさんのスマホに、 通知が届きました。
「お届け予定日は本日です☺️」
おばあさんは、 静かに頷きました。
「……来る。」
その瞬間から、 おばあさんの一日が始まったのです——。
追跡画面。
「発送済み」
「配達店へ到着」
「持ち出しました」
おばあさんは、 何度もスマホを確認します。
その頃にはもう、 完全に荷物中心の生活になっていたのです——。
「風呂、 まだやめとこ☺️」
「買い物も、 あとにしよ☺️」
おじいさんは、 のんびりお茶をすすりながら、 不思議そうに聞きました。
「どうせ、 置いて帰るんやろ☺️」
しかしおばあさんは、 真剣な顔で言いました。
「タイミングあるんよ☺️」
その日のおばあさんは、 異常に耳が良くなっておりました。
エレベーター。 台車の音。 廊下の足音。
「……来た☺️」
しかし、 全部違います。
おじいさんは、 その様子を見ながら、 ぽつりと呟きました。
「最近、 狩りでも始めたんか☺️」
夕方になる頃には、 おばあさんは少し疲れておりました。
しかし追跡画面には、 こう表示されていたのです。
「あと3件でお届け☺️」
おばあさんは、 静かに姿勢を正しました。
その後——。
21時58分。
玄関の外から、 小さな音が聞こえました。
“コトッ”
おばあさんは、 素早く玄関へ向かいます。
そこには、 ぽつんと段ボールが置かれておりました——。
おじいさんは、 静かに言いました。
「今日やったのう☺️」
しかしおばあさんは、 少し遠い目をしておりました。
「……一日、 終わった☺️」
そうして今日も村では、 置き配ひとつに、 静かに人生が支配されているのでした——。