疲れ詩『靴の中敷きさんは知っている』

誰にも言ってないけど、
今日ほんまは、
朝からずっとしんどかったんや。

背中も重いし、
口も動かしたくなかったし、
なんなら駅までの道すがらで、
帰りたくなってた。

でも、歩いた。
ちゃんと仕事して、ちゃんと笑った。
周りの人には、きっと何もバレてへん。

でもな。
あの人だけは、気づいてたと思うねん。

靴の中の、中敷きさん。

誰よりも長く、
誰よりも密着して、
わたしの“足の裏のしんどさ”を受け止めてくれた人や。

ちょっとズレてたけど、文句も言わんと、
朝から晩まで、ずっとわたしの重さを支えてくれてた。

足が痛くても、愚痴ひとつ言わんかったし
雨が染みても、逃げ出さへんかった。

誰にも見えへん場所で、
今日いちばん、わたしの“疲れ”を知ってたんは
あんただけやと思うわ、中敷きさん。

ありがとうって言うたら、なんか負けた気するから
この詩だけ置いとく。

明日もたぶん、しんどいと思うけど、
あんたが靴の底で待っててくれるなら、
もうちょっと歩いてみるわ。

(了)

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