無意味詩『バナナ哲学ビル』

ビルは、何も言わない。
ただ四角く、まっすぐに、
用事のある人間だけを受け入れている。

その入り口に、
バナナが置いてあった。

でかい。
黄色い。
明らかに、仕事をしていない。

通り道を、ふさいでいる。

無視しようとすればするほど、
視界に入ってくる。

「あの、これ……バナナですよね?」
誰かが言う。

それでいい。

会話は、もう始まっている。

用事なんて、あとでいい。
まずはこの、どうしようもない違和感を、
誰かと分け合うこと。

ビルは、何も言わない。

バナナだけが、
すべてを知っている。

関連作品