簿記詩 第七篇「減価償却という祈り」

マイクは今日も黙って立っている。
昨日より、ほんの少し金属の色がやわらいだ。

照明の熱、ケーブルの重み。
使えば減る。
減ることで、役に立てる。

人も、道具も、同じ仕組みや。
声を出すたび、喉が減価する。
けれどそれを“損”とは呼ばん。

私は今日も手を合わせる。
「ありがとう、まだ使える」

それが祈りの形。
減価償却とは、消耗ではなく感謝の記録や。

資産とは、まだ壊れへん希望のこと。
帳簿の端で、マイクが光る。

関連作品