簿記詩 第十三篇「残高ゼロでも、生きてる音」

通帳の数字は、もうゼロ。
けれど机の上には、
昨日までの声がまだあたたかい。

照明が切れても、
マイクの影が残る。
誰かの記憶の中で、
音がまだ歩いている。

利益も損も、
結局はただの途中経過や。

借方に今日を、
貸方に明日を。

差引残高、ゼロ。
それでええ。

声を出した瞬間に、
宇宙と精算がすむ。

──ポポッ、と一音。
それが生きてる証。

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