簿記詩 第一篇「左右の宇宙」

左に光を、右に影を。
帳簿は静かに呼吸している。

借方には もらった声。
貸方には 手放した勇気。

数字は泣かない。けれど、覚えている。
あなたがどの夜に 立ち尽くしたかを。

マイクの前で震えた手も、
レシートの裏で滲んだ夢も、
すべて左右に書き残されていく。

そして決算の朝。
声がまだ出るなら、
その分だけ、残高はプラスだ。

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