スン民には、ひとつだけ大事な習慣がある。
それは、ときどき立ち止まることである。
何かを言われたとき。
何かを頼まれたとき。
何かに巻き込まれそうになったとき。
すぐに反応しない。
すぐに答えない。
その代わりに、こうつぶやく。
「いや、ちょっと待て」
この一言で、流れは少しだけ変わる。
そのまま進めば、
なんとなく引き受けていたかもしれないこと。
なんとなく同意していたかもしれないこと。
なんとなく巻き込まれていたかもしれないこと。
それらが、一度止まる。
人は、流れの中にいるとき、あまり考えていない。
その場の空気。
相手の勢い。
なんとなくの流れ。
それらに乗って、判断してしまう。
だからこそ、スン民は止まる。
「いや、ちょっと待て」
それは否定ではない。
反抗でもない。
ただ、自分のための確認である。
これは本当に、自分がやることだろうか。
これは本当に、自分が同意することだろうか。
これは本当に、自分の意思だろうか。
一度止まるだけで、見えるものが変わる。
流れの中では見えなかったものが、少しだけ輪郭を持つ。
そしてスン民は、静かに選ぶ。
進むか、やめるかを。
その一拍が、
あとから大きな差になる。