世の中には、いろんな言葉が飛び交っている。
誠実であれ。
人に迷惑をかけるな。
思いやりを持て。
もっと努力しろ。
たいていの人は、それをそのまま通り過ぎていく。
しかし私は、そこでときどき立ち止まる。
「いや、ちょっと待て」
本当にそうだろうか。
それは誰の話だろうか。
それは誰に向けられた言葉なのだろうか。
私はこれまで、本を書くとき、ずっとこの「いや、ちょっと待て」を集めてきた。
世の中の言葉と、現実のあいだにある、ほんの少しのズレ。
そのズレを見つけては、静かにメモしてきた。
怒るわけでもなく、戦うわけでもなく、ただ少しだけ観察する。
それが、スン民のやり方である。
このエッセイは、そんな「いや、ちょっと待て」の記録である。