無意味連作劇『首相決戦』第八話 戦利品(二回目)

試合の翌日。

勝者のもとに、再び箱が届いた。

前回と同じ、桐の箱だった。

やたらと立派で、やたらと静かだ。

「……またこれか」

首相は、小さく息をついた。

しかし今回は、前回よりも覚悟があった。

ゆっくりと、蓋を開ける。

中には、布。

その下に、さらに箱。

「……二段構え?」

慎重に取り出す。

内箱を開ける。

そこにあったのは――

「……ボール?」

赤いゴムボールだった。

丁寧に磨かれ、光沢がある。

だが、どう見ても。

「……普通やな」

誰かが、ぽつりと言った。

同席していた関係者たちも、頷くしかなかった。

「今回の競技にちなみまして」

係員が、静かに説明を始める。

「敗北国の特産ゴムを使用した、特注品となります」

「……ああ、なるほど」

誰も納得していない顔で、納得した。

しばらく、沈黙。

そのあと、首相が言った。

「……ありがたく、頂戴する」

その言い方は、前回よりも少しだけ上手だった。

後日。

そのボールは、前回のまわしの隣に展示された。

『首相決戦 第二回大会 戦利品』

来館者は、並んだ二つを見る。

まわしと、ボール。

しばらく考える。

そして、だいたい同じことを思う。

――次は、何が来るんやろ。

その期待だけが、静かに残った。

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