その謝罪は、何度も繰り返されていた。
「申し訳ありませんでした。」
「深く反省しております。」
言葉は、きれいに整っていた。
間違いもなかった。
(間)
でも、空気は変わらなかった。
―――
「今後このようなことがないように…」
「再発防止に努めます。」
(全員うなずく)
―――
何も、乾いてへんかった。
言葉だけが、表面をなぞっていく。
奥の方は、そのままやった。
(間)
むしろ、湿っていた。
―――
吾朗は、その場におった。
誰にも気づかれへん位置で、
ただ、その謝罪を見ていた。
「……よう言うな。」
(小さく)
「でも、吸えへんな。」
―――
謝っているのに、
軽くならない。
言っているのに、
届いていない。
(間)
それは、湿ったままやった。
―――
吾朗は、少しだけ近づいた。
言葉の奥。
声の裏。
そこに溜まったものを、
そっと吸う。
(間)
「……これやな。」
「言葉やなくて、こっちや。」
―――
空気が、少しだけ軽くなる。
でも、全部は変わらへん。
(間)
「まあええか。」
「次やな。」